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    特別講習 No.3
    2008-07-07 Mon 14:46
    「え……、今年から、男子校じゃなくなったんですよね?」
    私は、とっさに原田先生にきいた。
    原田先生は、笑いながら答えてくれた。
    「あぁ、そうだよ。
     でも、入学希望者の中に、もともと女子がすくなくて、
     合格ラインに達していたのは君だけだったってことだ。
     君は、女子一人だから一番前に並ぶといいな。
     さぁ、並んだか~。
     講堂にいくぞぉ。」

    一方的に話して、先生は廊下を歩き出してしまった。

    「うそでしょぉ……。
     本当に私だけなんてっ……!」

    私は、何も考えられないまま、流されるように講堂に行った。

    入学式。
    在校生に迎えられて、新入生達が講堂へ入場していく。
    1-Aの先頭に並ぶ私。
    ってことは、新入生の中で一番最初に講堂にはいることになるっ!
    頭の中はパニック状態で、何がなんだかわからない。
    そんなまま、私は原田先生の後について、講堂へとはいっていった。

    圧倒される……。
    男子高校生が山盛り居る……。
    当たり前だ、私以外は全員男子なんだもの。
    講堂に一歩足を踏み入れると
    ドォ~ッと、講堂全体がざわめいた。
    私は講堂すべての視線を受けて、潰されそうな気持ちになった。

    新入生が全員着席するまで、ざわめきは納まらなかった。
    「お母さんのばかあっ!
     今年から女子も居るから大丈夫なんて、うそじゃんっ!
     ここで三年も過ごせないよぉ……。」

    私は、膝の上でぎゅっと握った両手を見つめながら、母を恨んだ。

    退屈な校長先生の話や来賓祝辞など、式典は進んでいく。
    私は、そんな話など耳に入らなかった。
    どうやって転校するかだけ、必死に考えていた。
    そこに、聞き覚えのある声が聞こえた。
    あれ?
    私は顔を上げて、壇上に立っている人を見た。
    「あ、さっきの人だ。」
    迷っていた私に、教室を教えてくれた生徒会長。
    さっきと同じ爽やか笑顔で「新入生歓迎の辞」を述べている。
    最後に私と目が合った瞬間、更にクシャッと可愛い笑顔を見せてくれた。

    ありがちだ……!
    自分でもアホらしく感じるけれど、会長の笑顔にドキッとしてしまった。
    山盛りの男子高校生の中、爽やか笑顔の生徒会長。
    ……お母さんの時代の少女漫画じゃあるまいし、
    顔が赤くなっている自分が、恥ずかしい……。
    その瞬間「転校しなくてもいいかも。」と思っている自分が情けない。

    入学式も終わり、教室へと戻る。
    最初は、遠巻きで私を見てヒソヒソ話しているだけだったクラスメートも
    何人か話しかけてくる。
    「よく、女子一人なのにこの学校に来たじゃん。」
    「だって、女子一人なんて、さっきまで知らなかったもん……。」
    そんな会話が、何度も繰り返された。
    でも、私の気持ちの中は、さっきとは微妙に変わっている。
    そんな自分を笑っちゃいそうになる。
    「これぞ“恋する乙女”ってやつ?!」

    あいかわらずざわつく教室に原田先生が入ってきた。
    「ほら、着席しろ~。
     これから、自己紹介してもらう。
     この学校は全寮制だから、24時間誰かと一緒に学校生活を送る。
     少しでも早く、クラスメートや寮の仲間と仲良くなって
     楽しい学校生活を送れるようになってもらいたい。
     自己紹介が終わったら、寮について説明するからな。」

    原田先生のその言葉にハッとなった。
    「そうだ、寮!
     女子一人なのに、寮ってどうなってるんだろう……。」

    私はまた一つ、不安を抱えてしまった。

    一通り自己紹介が終わって、原田先生が寮の事を説明し始めた。
    「寮は3つある。
     4つ目を建設したんだが、入居者がほとんど居ないということで
     今年は、新しい寮は使用しないことが決まった。
     Rue、女子専用寮はなくなったから、
     君は、3つの中で一番新しい蒼月寮の特別室を使えることになってる。
     個室でミニキッチンと専用のトイレと風呂が付いてるから、
     心配しないで大丈夫だよ。
     男達と一緒に風呂に入れって言われたら、困るだろ?」

    といって、笑う。
    「困るで済む問題じゃないよっ!」と思ったけれど、
    自分の部屋は何とかなりそうだから、ちょっと安心した。
    「寮は学年で分けてあるわけじゃないから。
     1年から3年まで、大体同じ人数になるように振り分けてある。
     みんなは昨日から入寮しているから、状況はわかっていると思う。
     それぞれの寮の決まりごとをきちんと守り、規律正しい生活をするように。
     Rueは、今日から入寮らしいね。
     今日の日程が終わったら、寮長が迎えに来るそうだから
     色々教えてもらうといい。」


    その後、入学初日のオリエンテーリングを終え
    私を迎えに来てくれるという、蒼月寮の寮長を待った。
    教室で、配られた資料をまとめていると
    「お待たせ。」
    私の机の前に、生徒会長がさっきの笑顔で立っている。
    急なことに、バタバタとあわててしまう私。
    「あ、あの、あの……。」
    言葉が出てこない。
    「俺ね、蒼月寮の寮長なんだ。
     新入生のRueちゃんを、迎えに来ました。」

    そういって、私の頭をポンポンと軽くなでる。
    「溶けるぅ……!」
    思わず、口にしてしまいそうだ。
    「ありがとうございますっ。
     よろしくお願いします。」

    私は、椅子をガタガタ言わせて立ち上がり、礼をした。
    生徒会長は声を立てて笑って言った。
    「そんなに緊張しないでよ。
     これからずっと一緒なんだし。
     よろしくね、Rueちゃん。」


    もぉ、どこまでも爽やかなんだ、この人はっ!
    本当に漫画に出てくる理想の先輩そのものじゃんっ!

    こうして、私のバラ色学校生活が始まった。
    ……はずだった。
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    2009-04-28 Tue 00:14 | #[ 内容変更] | top↑
    *KYさま☆
    コメントありがとうございますv-344
    読んで、楽しんでいただけたら
    作家として、大変光栄ですv-353
    2008-11-13 Thu 17:48 URL | Rue #iFxPHXcU[ 内容変更] | top↑
    *いつもみています
    初めて書き込みます。いつも参考にしています。これからも遊びにきます。
    2008-10-27 Mon 18:31 URL | KY #-[ 内容変更] | top↑
    *ありがとうございます(〃'∇'〃)ゝ
    ファン様、応援コメントありがとうございますv-20

    まったく、更新がままならない状態で、申し訳ありませんv-436

    とっても、とっても嬉しいですv-398

    続き、なるべく早く、アップしますねv-353
    2008-10-19 Sun 20:33 URL | Rue #iFxPHXcU[ 内容変更] | top↑
    更新楽しみにしてます♪
    このサイトほどどきどきするサイトはないのですからv-10

    またちょくちょく遊びに来させてもらいますね!
    ではでは v-238
    2008-10-08 Wed 23:11 URL | ファン #-[ 内容変更] | top↑
    *管理人のみ閲覧できます
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    2008-09-22 Mon 16:44 | #[ 内容変更] | top↑
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