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    特別講習 No.4
    2009-06-29 Mon 13:06
    「じゃ、帰ろうっか。」
    爽やかな笑顔で、生徒会長がいう。
    「は、はいっ。」
    私は、慌ててかばんを持って生徒会長の方に一歩踏み出した。
    生徒会長が私の顔を覗き込むようにして
    「ねぇ、Rueちゃん。
     そんなに緊張しないでよ。
     俺の名前、覚えてる?
     東部って言うんだ。
     ちゃんと、名前で呼んでよね。
     そんな様子じゃ、“生徒会長”とか呼ばれそうだし。」

    といって、笑う。

    私は「そう呼ぼうと思ってたっ!」と慌てた。
    それよりも、私の心臓がバクバクと音を立てる。
    生徒会長…、いや東部先輩のきれいな顔が目の前に迫ってきて、
    キスされちゃうのかと思ったから…。
    「私ったら、妄想激しすぎっ!」
    と自分で突っ込みながら、なんとか頷いて、返事をした。

    二人は並んで廊下を歩き始めた。
    「Rueちゃん、小さいね。
     身長どれくらい?」

    うっ…。
    気にしていることを…。
    「ひゃ…155センチくらいです。
     東部先輩、大きいですよね。」

    「俺は179。
     もう少し、ほしいところだけど。」

    「え~、もっと大きくなりたいんですか?
     私、隣で話してると、今でも首痛くなりますけど…。」

    私は、左側にいる東部先輩の顔を見上げた。
    目が合った瞬間、自分の頬が赤くなるのを感じて、慌てて視線をそらしてしまう。
    「なんだよ、Rueちゃん。
     そんな、目、逸らさなくたって…。
     俺、傷つくじゃん。」

    東部先輩が、からかうようにして、私の肩に手を回す。
    私は、気絶寸前、うつむいて無口になってしまった。
    「あ、ごめん。
     怒った…?」

    心配そうな表情で、私の顔を覗き込む東部先輩。
    相変わらず真っ赤な顔で、首を振る私。
    「…。
     これ、私の気持ち、バレまくりだよね…。」

    自分で思うけど、もうどうしようもない。

    私の肩から手を離し、その手を私の頭にのせ、
    「ほら、顔上げて。
     寮までの道、覚えなきゃ。」

    そういって、また爽やかな笑顔を向ける。
    「う、うん…。」
    小さく頷く私。
    「はぁ…。
     この笑顔で、私はアッパーカットくらったよ。」

    そんなことを思いながら、東部先輩の後ろについて、歩き出した。

    10分くらい歩いただろうか。
    「ここだよ、蒼月寮。
     今日から、Rueちゃんもここの寮生。」

    東部先輩がそう言って立ち止まった。
    それは、マンションとアパートの中間のような建物だった。
    そんなに新しくも、古くもない。
    「入り口はこっち。
     ここが下駄箱。ここに入らないほかの靴は、自室で管理して。
     で、入ってすぐに管理人室があるから、朝学校に行くときや、
     学校から帰ってきたら、ここに声をかけてね。」

    東部先輩は、管理人室の小窓から、中に向かって声をかけた。
    「ただいま~っ。
     今日から入寮する新入生を連れてきたよ。」

    中から、管理人さんが出てきた。
    寮の管理人っていうくらいだから、お父さんより年上のおじさんを想像していたのに、
    おじさんって呼んじゃってよいのだろうかと、考えてしまう感じ。
    原田先生より、ちょっと年上かなぁ…、と思った。
    「お帰り。
     あぁ、トシが担当だったんだ。
     こんにちは、僕は池上です。
     この蒼月寮の管理人で、こいつらの親代わりというか、兄貴代わり。」

    ちょっとハスキーな声が、印象的だった。
    「Rueです。
     女の子が一人だけだって、今朝知りました。
     すごく不安がいっぱいなんですが、よろしくお願いします。」

    私は、これからの3年間、お世話になるだろう池上氏に深々と頭を下げた。
    「大丈夫、不安に思わなくても。
     トシは、気の利くやつだから、何でも相談してごらん。
     大人じゃなきゃ対応できないことは、僕に。
     な、トシ。」

    池上氏は、そう言って東部先輩にウィンクして見せた。

    「あ、あぁ。
     なんでも相談しなよ。
     女の子とこんなに話すのも久しぶりで、結構、俺も戸惑い気味だけど。」

    東部先輩が、ちょっと照れたように笑った。

    キュンッ!
    あぁ、神様…。
    私、完全に心をつかまれちゃいました。
    東部先輩と同じ寮にしてくれて、本当にありがとうございますっ。
    もっと、もっと、先輩のこと知りたいです!
    私は、心の中で、神様に祈りを捧げていた。

    「じゃあ、トシ。
     Rueちゃんを部屋に案内したら、届いた荷物運んであげて。
     それから、蒼月寮の寮則も説明して、寮の案内しておいて。
     今夜は、おばちゃんに頼んで、Rueちゃんの歓迎パーティでもするか。」

    池上氏はそう言って、中に入っていった。
    「う~っす。
     じゃ、Rueちゃん。
     部屋に案内するよ。こっちおいで。」


    私は、今朝の絶望的な気持ちとは、180°違って、
    まるで羽が生えたかのようなフワフワした気分で東部先輩の後をついていった。
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    コメント

    るあ様、コメントありがとうございます

    本当に久しぶりの更新…。
    なんと一年ぶりでございます

    特別講習の方も、近いうちに更新したいと思っております

    こんな状態にも関わらず、ご訪問くださるるあ様には、感謝の気持ちでいっぱいです
    2010-09-07 Tue 13:42 URL | Rue #-[ 内容変更] | top↑
    久々の更新ですね(^-^) うれしいです!

    特別講習の続きも楽しみにしてます(*´ー`*)ドキドキ!
    2010-08-31 Tue 17:40 URL | るあ #-[ 内容変更] | top↑
    *ありがとうございま~す☆
    るあ様、コメントありがとうございますv-238

    更新が、気まぐれすぎで、ほんと、ごめんなさいv-436v-356

    出来るだけ早く、更新しますね~v-433
    そろそろ、次回くらいから、v-319な展開にしたいと思ってますぅv-344
    2009-08-16 Sun 23:39 URL | Rue #iFxPHXcU[ 内容変更] | top↑
    やっと更新してくれたんですね~
    うれしい☆

    早く続きが読みたいですv-10
    2009-08-11 Tue 20:01 URL | るあ #-[ 内容変更] | top↑
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