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    特別講習 No.2
    2008-02-21 Thu 14:34
    教室に向かう途中も、不安が増していく。
    中学の時は、廊下を歩く時には、必ず女友達と一緒だったのに。
    今日は、初めての学校で、一人ぼっちて歩いている。
    しかも、周りは男子ばっかり……。

    校舎内は綺麗で、落ち着いた雰囲気。
    生徒達も、服装もきちんとしていて
    “不良”っぽい人は居ない。
    (そして、相変わらず女子も居ない……。)

    私は、キョロキョロと教室を探していると、
    トントンっと、肩を叩かれた。
    「ねぇ、君。1-Aに来た子でしょ。」
    振り向くと、そこには背の高い男の子。
    驚いた私は、声も出ず、ただうなずくだけだった。
    「俺ね、3-Aの東部利紀。
     生徒会長やってて、君の事は聞いてたんだ。
     よろしくね。」

    彼は、まるでアニメやドラマに出てくるような
    爽やか笑顔で、話しかけてきた。

    私は、突然の出来事に驚いてしまって
    「る、Rueです…。」
    と、しどろもどろに返事をするのが精一杯だった。
    私が、教室がわからずに迷っていたのを知ると、
    爽やか生徒会長は、1-Aの教室の場所を教えてくれて
    笑顔で手を振って去っていった。

    「ふぅ……。
     びっくりしたぁ。
     中学の時の男子とは、全然違うぅ。
     男の子って、高校生になると、変わるんだなぁ。」

    なんて思いながら、教えられた教室に向かって歩き出した。

    1-Aの教室は、2階上がって、コの字型の校舎の一番奥だった。
    「ん~。
     玄関から一番遠いところだぁ。
     遅刻しないように、気をつけなきゃ……。」

    私は、そんな事を思いながら、教室のドアをガラガラと開けた。
    教室の中に居た生徒達の視線が、一斉に私に注がれた。
    それと同時に、ガヤガヤを低い声が上がった。
    教室に、足を一歩踏み入れた状態で、私は固まってしまった。

    「だ、男子しか居ないじゃんっ……!」

    1年生の教室だけあって、
    教室の中にいる男子は、私と同じでこの前まで中学生でしたって感じ。
    それには、ちょっと安心したけれど、
    なぜ、女子が居ないんだろう……。
    今にも、泣き出したい気持ちになった。
    その時、教室の前のドアが開き、先生らしき人が入ってきた。

    「席に着いて。」
    先生は、そういいながら、教室の中に入っていく。
    私は、後ろのドアの前で呆然と立ち尽くしていた。
    「ほら、君の席はここだろ。
     早く着席して。」

    先生は、私を見ながら、一番前の真ん中の席を指差していた。
    私はあわてて、席に着いた。
    席に着いても、教室中から注がれる視線を背中に感じていた。
    先生が来ても、教室の中はざわついたままだ。

    「はい、静かに。
     俺は、今年一年、君達と一緒に過ごすことになった
     1-A担任の原田です。
     いかにも、体育教師に見えるらしいけど、
     担当教科は化学。
     年齢は25歳。
     この学校の教師の中では、一番、君達と年齢が近い。
     ……ということで、よろしく。
     何か質問は?」

    ざわついたけれど、誰も質問に手をあげる生徒は居なかった。
    「よし、質問はないな。
     じゃぁ、これから入学式が始まるから
     廊下に並んで、講堂に移動しよう。」

    ガタガタと、椅子を鳴らして、みんなが席を立ち
    廊下へと出て行く。

    私は、急いで先生のそばに行き、声をかけた。
    「先生。
     このクラス、女子は私だけなんですか……?」

    振り向いた先生の顔は、驚きの表情を浮かべていた。
    「え?
     君、聞かされてないの?
     このクラスだけじゃなく、この学校の中で
     女子は君だけだよ。」

    「う、うそ……。」
    その場にへたり込みそうになりながら、私はつぶやいていた。
    頭の中で除夜の鐘が鳴らされたような衝撃だ……。
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